昨日は中国で受講しているクオンツ投資セミナー「初阶!量化交易:策略编写及系统搭建」の6回目(最終回)でした。
最終回のテーマは「クオンツ投資のプロになるための必修科目」。今までは株式取引プログラムの作成(売買判断、資金管理)、過去相場での検証方法の基礎について学んできました。今回は、実際にプログラムを使った取引する上で知っておくべき知識について話がありました。
基本的なデータ処理:Level1 Ticks
中国株式のクオンツ投資プログラムに必要な株価情報の取得元としては下記があります。
- 証券取引所 直接提供データ(上海証券取引所、深セン証券取引所)
- サードパーティーによるインターフェース・API(Wind、东财Choice、Tushare、JQdata、掘金量化)
- 経済情報サイトスクレイピング(新浪财经、东方财富、巨潮资讯)
- 株式売買アプリ(同花顺、图表交易软件)
- オフラインデータパック(Wind、淘宝)
上から順に信頼度が高く、実際の取引プログラムを作成する上では1.2.のどちらかを使用することになります。ただ、証券取引所に直接接続してデータを取得するのはコストが高く素人が個人で使うのは現実的ではありません。
提供されるデータの粒度(Tick)は2種類あります。
- Level1(3秒固定間隔集計データ)
- Level2(リアルタイム取引情報)
当然Level2のデータを取得する方が費用が高くなります。
今回の講座ではLevel1 Ticksで取得したデータ(3秒ごとに取引記録)を元に1分足、1時間足、日足のローソク足データを作成するプログラムの解説がありました。株式分割の考慮や異なるデータソースを取扱う際には注意が必要になります。
実践クオンツ投資戦略
Hans123
上記で処理したデータに対して、「Hans123」を使った売買プログラムの解説がありました。Hans123は、先物取引でよくみられる有効な戦略で百度などで検索するとサンプルプログラムが見つかります。
ただ、ネット上にあるプログラムは考慮不足があったり、有名なプログラムであれば逆にそのプログラムの隙をついたプログラムで狙われる可能性もあります。ネット上のプログラムを直接使うのはリスクが高いです。
3指標(KDJ、移動平均、取引高)のみでの売買
次に中国株式市場に簡単でかつ有効な売買戦略について解説がありました。
KDJ指標(中国でよく使われるテクニカル指標)と移動平均線、平均取引高のみを使って購入タイミングを判断、移動平均線のみを使って売却タイミングを判断します。
26年分の過去相場データを使ったバックテストで検証しても上証指数を大幅に上回るパフォーマンスを出し、かつ最大損失「最大回撤」も上証指数の4分の1となっています。
より良い戦略の研究
より良い戦略を作成するために個人投資家(人間の心理)について解説がありました。人間が取引をする際には心理的な問題から理性的な判断が出来ないことが多くあります(損失を確定させるのを恐れてロスカットできず塩漬けにする等)
プログラム取引を行うことで、そのような心理問題を避け、かつ利用するように取引することが出来ます。
実際にプログラム取引を始める前に必ず守るべきルール
最後に実際にプログラム取引を始める前に必ず守るべきルールについて話がありました。プログラムを過信し過ぎずにあらゆるリスクを考慮する必要があります。
プログラムにバグが無いか、特定の状況(もみ合い、右肩上がり)にだけ正しく動作するのではないか、資産をつぎ込み過ぎていないか など等
講師が運用しているプログラムでも去年11月に予期せぬ出来事(提供された株価データが誤っていた)があり大幅に損失を出したそうです。また、12月には先物取引所で15分間取引が出来ない状態となり、その後価格が大きく乱高下しました。
このような想定できないような問題があるので過信は禁物です。