【中国上海】デジタル人民元の利用方法と使える場所(出前、ネットスーパー、買い物)

先日、デジタル人民元のアプリをダウンロードしデジタルウォレットを作成しました。

デジタル人民元はまだ試用段階ですが利用方法は簡単で、出前やネットスーパー等多くの場面で使えます。また外国人でも利用金額の制限はありますが、問題なく使うことが出来ます。

デジタル人民元について

デジタル人民元(e-CNY)は中国人民銀行が発行するデジタル形式の法定通貨です。

特徴として、

  • ネットワークが無い場所でも利用可能(2重のオフライン支払に対応)
  • 複数端末の支持(スマホだけでなく、ICカードやその他ハードウェアでも支払可能)
  • 高いトレーサビリティ(管轄当局が法的文書を発行する場合、違法および犯罪行為を捜査する情報を提供)

等があります。

現在(2022年2月)は試用段階で下記10都市及び北京オリンピック会場で利用可能です。

  • 深圳、苏州、雄安、成都、上海、海南、长沙、西安、青岛、大连

2層運用システムが採用されていて中国人民銀行が直接一般市民に発行するわけではなく、下記の形で交換は2層に分かれています。

  • 人民銀行⇔商業銀行(+その他の商業機関)
  • 商業銀行⇔一般市民

商業銀行は、人民銀行に100%の準備金を支払う必要があり、デジタル人民元の発行が既存の金融システムに大きな影響を与えることは無いそうです。

アプリのダウンロード・ウォレット作成

私は今デジタル人民元試用エリアの上海市に住んでいるので、早速使ってみました。

外国人は利用できないかと思っていましたが、既に日本人で利用されている方の下記記事を参考にしました。

kichina.net

インストール

Androidのストアから「数字人民币」と検索してダウンロードします。

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アプリをインストールするとまず、「個人情報保護」についてのダイアログが表示されます。

詳細を見てみましたが、かなり長い文章です。

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何故アプリが位置情報権限を必要とするのか(=デジタル人民元試用エリアか判断するため)、何故スマホのアルバム読取権限を必要とするのか等の理由が詳しく書かれています。

ウォレット作成

ユーザ登録は、電話番号の入力だけでOKです。

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そして、匿名のデジタルウォレットを作成します。デジタルウォレットの作成はどこの銀行でも問題ないです。(現在保有している銀行口座とは関係ない)

そして自分のウォレットに名前を付けます。

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その後、スマホ内のアプリに子ウォレットを作成するかの選択が出てくるので全部作成しました。

この処理をする事で京东、美团、饿了么、天猫超市、盒马、携程等ECサイトや出前、ネットスーパー、旅行会社のアプリでもデジタル人民元が使用可能になります。

更にアプリごとに利用金額の上限を設定することも可能です。(1回辺りの金額と、1日の累計金額)

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デジタルウォレットの作成が完了しました。金額のチャージは銀行カードまたは各銀行のアプリから行います。

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デジタル人民元の利用

早速、デジタル人民元を使ってみました。

京东(ECサイト)で決済時に、デジタル人民元の選択肢が追加されています。これを選ぶだけでOKです。

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子ウォレットを作成していない「中国联通(チャイナユニコム)」のアプリでもスマホ料金チャージにデジタル人民元が利用可能でした。

デジタル人民元の利用金額上限

初期登録時のウォレットの種類は「四类钱包」となります。これは携帯番号のみで登録したユーザで、1回の支払い上限額が2000元、1日の上限額が5000元、年間の上限額が5万元です。

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身分証明書番号や銀行口座番号など個人情報を紐づけることで「三类」→「二类」→「一类」とランクアップし、利用上限額が引き上げられます。ただ、外国人は中国の身分証明書番号を持っていないため利用不可です。

まとめ

デジタル人民元のウォレットを作成し、デジタル人民元を使ってみました。登録は簡単で外国人でも利用可能です。

ただ、アリペイやWechatペイ等の他の決済と比べて特にメリットがあるわけではないので、わざわざデジタル人民元を利用する価値は今のところ無いかと思います。

ちなみに、デジタル人民元とビットコインなどのブロックチェーン技術が使われている暗号資産とは仕組みが大きく異なっています。ブロックチェーンは「分散型台帳技術」と言われている通り、ネットワーク上の端末同士を接続して暗号技術を用いて分散的に処理・記憶するデータベースの一種ですが、デジタル人民元は中央集権的管理が行われいます。

そもそも現在のブロックチェーンは処理速度が遅く、手数料が高いといった技術的な問題もあり人口が多い中国人が日常で使うトランザクションを捌くことは不可能です。