ここ1年、上海の街中に監視カメラが増えています。私が住んでいる中山公園エリアでは、全ての交差点にカメラ設置されているだけでなく、高架下の歩行者用横断歩道や小区内にも数多く設置されています。
大きい交差点には10台〜20台の監視カメラ。車だけでなく歩行者の信号無視を監視するカメラもあります。
この信号機には9台の監視カメラが設置されています。
顔認識プラットフォームface++
この公安の監視カメラの顔認識システムには「旷视科技」社のface++が使われてると言われています。このface++は現在世界最大の顔認識技術プラットフォームとなっており、アリババやレノボ等にも技術提供を行っています。
個人でもユーザー登録すると提供されているAPIやSDKを無料で利用する事が出来、顔認識機能を組み込んだプログラムの作成が可能です(機能制限有り)。
face++のミニプログラム
また、face++はWechatのミニプログラムとしても提供されているためプログラム開発が出来ない個人でも顔認識機能を使う事が出来ます。Wechat上で「旷视AI体验中心」のワードで検索すると出てきます。
face++の機能検証
フリー写真素材サイト「スキマファミリー」の顔写真を使ってface++の顔認識機能がどれくらいの性能なのか検証してみました。
顔認識機能
まず、4人の家族が映っている写真をアップロードし、顔認識機能を使ってみます。
アップロード後、4人の顔の位置や向きを検出しそれぞれの人の特徴が出力されました。
左の男性は下記の通り認識されました。表情については微妙ですが、それ以外は正しく判定できていそうです。
- 年齢:44歳
- 性別:男性
- 表情:つらくて泣きそう
- 頭部状態:若干右に傾いている
- 口状態:空いている
- 左目状態:眼鏡なし、開いている
- 右目状態:眼鏡なし、開いている
右の女性は下記の通り認識されました。こちらは正しく判定できていそうです。
- 年齢:35歳
- 性別:女性
- 表情:うれしく楽しそう
- 頭部状態:右に傾いている
- 口状態:空いている
- 左目状態:眼鏡なし、開いている
- 右目状態:眼鏡なし、開いている
顔検索
次に顔検索機能を使ってみました。2枚の異なる写真をアップロードして、1枚目と2枚目が同一人物か判定します。
アップロードしたのは下図の2枚です。1枚目の女性と2枚目の左の女性が同一人物です。顔の向きや表情が異なっていますが、face++で同一人物と判定できるのか検証してみます。
結果は、類似度80%(かなりの確率で同一人物)と判定されました。これくらいの画像比較であれば特に問題なく判別できるようです。
顔面偏差値測定
顔面偏差値測定機能を使ってみました。これはアジア人の目線でみて対象人物がどれくらいの顔面レベルかスコアを付けてくれるものです。男性目線で見た場合と女性目線の場合でそれぞれ点数をつけてくれます。
上図の女性は顔面偏差値で上位23%に当たる美人だという判定が出ました。また、若干男性より女性受けが良いようです。
この機能は履歴書やお見合い写真にどの画像を使えば良いか客観的に判断したり、どのような化粧をすれば一般受けが良いか判断する材料となります。実際中国のお見合サイトではこの機能が実装されているそうです。
皮膚状態
最後に皮膚状態計測機能を使ってみました。
写真左の男性の総合健康指数は4点と判定されました。
- しみ:重度
- にきび:軽度
- 目のクマ:なし
まとめ
face++にはその他にも、手のサインの認識、文字認識など多くの機能があります。wechatがあればだれでも使えるので興味がある人は試してみてはいかがでしょうか。ただ、アップロードした写真は「旷视科技」社の機械学習データとして取り込まれることもあり得るので、気になる人は使用を控えた方が良いかと思います。
技術的には正直これくらいであれば、AppleやGoogleでも既に実現可能かと思います。具体的にface++がどの点について優れているかはまた時間がある際に検証してみます。